小説家食堂

小説、エッセイに登場するあの料理を食べる

油揚げ(東海林さだお『油揚げの処世術を見習おう』)

“主流の中にあっては自分は生かされない、と油揚げは考えたのである。”(東海林さだお『タコの丸かじり』の「油揚げの処世術を見習おう」より)

油揚げを焼いたの

油揚げの焼いたの。調理時間は5分くらいでできます。

 

新聞や週刊誌の長期連載の名手、東海林さだお(1937-)の『週刊朝日』に連載された「あれも食いたいこれも食いたい」の書籍版から。新入社員へ競争社会の中で生き抜く処世術は油揚げに学べ、というエッセイです。

連載当時は4月の掲載だったのかもしれません。東海林さんは、油揚げのことを豆腐製造の過程でつくられて、まるで三流校出身と同じ境遇だと言っています。しかしながら、将来の道は閉ざされているかのようだったが、協力者と組むことで自分の活路を見出した。自らリーダーシップをとることなく、周囲との協調を大切にする、というのが油揚げの生き方で、こういう生き方があることを肝に銘じてほしいと、軽妙な筆で書かれています。
たとえば、味噌汁の具であったり、おいなりさんであったり。料理のわき役としてささやかに良いダシを出している例を挙げています。

 

“前途に光明を見出せないでいる諸君。心くじけたら油揚げに思いをいたそう。油揚げだってやれたではないか。”という末節で締めくくられるエッセイです。

私事で恐縮ですが、大学院や公的機関での勤務を経て、民間企業でサラリーマン生活をしているので、社会人のスタートはいわゆる主流派とは言えなさそうです。鈍感なほうですし新入社員は遠い過去ですが、心に少しずつ積もった仕事の不満はあります。読んだら急に油揚げが食べたくなり晩酌のおともにしました。

手の込んだ料理にしなくても滋味あふれて安くて美味しいのが油揚げ。この日に使ったのは1枚あたりのサイズが少し小ぶりの上品な感じで3枚入りの「翠家 手揚げ油揚げ」で、ナショナル麻布で購入できます。


RECIPE:1
油揚げを焼いたの(2人分)
油揚げ・・・1-2枚
大根・・・・お好みで
生姜・・・・お好みで
しょうゆ・・お好みで

 

HOW TO COOK
1. 油揚げをトースターで5分くらい焼く。
2. 油揚げを焼いている間に、食べたい分だけの大根と生姜をおろす。
3. 油揚げが焼けたら、食べやすい大きさに切って、大根おろしとおろし生姜をのせる。
4. 食べる直前に、各人の好みでしょうゆを垂らす。

 

POINT
油揚げの焼き加減が心配な場合はアルミホイルを上にふんわりかぶせる。

 

油揚げと青ねぎのさっと煮

油揚げと青ねぎのさっと煮 これも調理時間は5分もあれば。


RECIPE:2
油揚げと青ねぎのさっと煮(2人分)
油揚げ・・・・1枚
青ねぎ・・・・3本
創味のつゆ・・20cc

 

HOW TO COOK
1. 創味のつゆと水1カップを鍋にかけて沸騰させる。
2. 沸騰を待つ間に、1枚の油揚げをお好みで6-8等分に切る。青ねぎは油揚げの大きさに合わせてざくざく切る(だいたい4cmくらいか)。
3. 1が沸騰したら2を加えて、さっと煮る。

 

POINT
さっと煮る基準は、ねぎの色味が褪せない程度に。お好みで七味をかけても。

 

タコの丸かじり

タコの丸かじり

創味 つゆ 1L

創味 つゆ 1L