小説家食堂

小説、エッセイに登場するあの料理を食べる

目玉焼(伊丹十三『目玉焼の正しい食べ方』)

“目玉焼というのはどうも食べにくい料理である。正式にはどうやって食べるものなのか。こうだ、という自信のある人にかつてお目にかかったことがない。”(伊丹十三『女たちよ!』の「目玉焼の正しい食べ方」より)

目玉焼(伊丹十三『目玉焼の正しい食べ方』)

朝食の定番、目玉焼。

 

映画監督、俳優、エッセイストと多彩な才能を持つ伊丹十三(1933-1997)のエッセイから。映画『タンポポ』で、ご存じ、たいめいけんのたんぽぽオムライス(チキンライスの上に、オムレツにナイフを横に1本入れて半熟卵をふかふかに広げる)はブームになりました。


たんぽぽ すごく美味しそうなオムライス作り

 

そんな卵と縁のある伊丹さんの目玉焼のエッセイ。旅先なんかで人目のある状態で朝食をとるときに思い出します。

 

伊丹さんが最初にあげたどう考えても正しくなさそうな食べ方として、白身をどんどん切り取って、丸く残った黄身だけを最後にすくう食べ方。“子供がおいしいものを一番最後に食べる、あの感じになってしまう。”と伊丹さん。
その逆ならどうか。皿に口を近づけて、真ん中の黄身をぺろりと最初にすいとってしまう伊丹さんの友人の食べ方を紹介。人前では問題があると、これも正しくないと切り捨てています。

 

目玉焼(伊丹十三『目玉焼の正しい食べ方』)

白身をどんどん切り取って、丸く残った黄身だけを最後にすくう食べ方。私は家ではこの食べ方です。

 

残る方法として、大事な黄身を、涙をのんで壊してしまうやり方をあげていますが、これなら黄身が白身のソース代わりになるので一番あやしくなさそうです。が、食べ終わった皿が黄身だらけになって見苦しく、パンか何かで拭き取りたくなってしまう、とのことで、やはり完全な方法ではないだろうと記されています。確かに、和朝食の目玉焼にいたっては拭き取りも叶いません。

目玉焼(伊丹十三『目玉焼の正しい食べ方』)

大事な黄身を、涙をのんで壊してしまうやり方。私は人前ではこの食べ方です。

 

では、伊丹さんはどうやって目玉焼を食べていたのか。インテリ臭い方法とご自身でおっしゃっていますが、上述したような目玉焼の食べ方を“あれはやだねぇ”としゃべりながら、“ホラ、こんな具合!”と実演してそのままパクリと食べていらしたそうです。

 

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左は若き日の渡辺謙さん。