小説家食堂

小説、エッセイに登場するあの料理を食べる

梅むら・豆かん(色川武大『徹夜交歓』)

“豆カンはカンテンと赤豌豆だけのものに黒蜜をかけて食べる。あっさりしていて初夏のもの。酒のあとにもいい。”(色川武大『喰いたい放題』の「徹夜交歓」より)

梅むら・豆かん(色川武大『徹夜交歓』)

浅草・梅むらの店構え。

 

ギャンブル小説で有名な色川武大(1929-1989)のエッセイから。読みは「いろかわ たけひろ」です。色川さんが概略は以前の投稿記事をぜひご覧いただければ幸いです。

 

www.shosetsuka-shokudo.club

 

色川さんの『喰いたい放題』というエッセイは、豪快な食への執着がみなぎる快作で、食べたもの、ふと浮かんだ食べたいものを書き出して、その変遷、こってりに傾いたりあっさりに傾いたりに唸る描写なんかがあったりします。

冒頭の一節はそのひとつで、朝食に食べたものとして「豆かん(浅草“梅むら”のもの)」と記してあり、豆かんは梅むらが一番と書かれています。


梅むらは、色川さん、安川章太郎、吉行淳之介、井上ひさしなどの作家のエッセイでその名がのぼり、最近では孤独のグルメでも取り上げられました。
浅草のお店はとらふぐや蕎麦などの東京風の割烹を食べさせてくれる道の脇に所在しています。看板こそ目立ちませんが、近くまで行けば平日でも列を作る人がいるのできっと分かります。列に並んでいるのはお店で食べる人で、持ち帰りであれば行列に並ばずにお店にひょいと顔を出して注文すれば5分とかからず出てきます。


梅むら・豆かん(色川武大『徹夜交歓』)

持ち帰り用メニュー。

梅むら・豆かん(色川武大『徹夜交歓』)

持ち帰り用豆かん。黒蜜付きです。

梅むら・豆かん(色川武大『徹夜交歓』)

色川さんの大好物、豆かん。他店のと比べてすっきりした甘さで豆に弾力があるように思います。お酒の後にも合う、毎週食べたい飽きのこない味。

 

喰いたい放題 (光文社文庫)

喰いたい放題 (光文社文庫)

梅むら