小説家食堂

小説、エッセイに登場するあの料理を食べる

麻婆豆腐(朝吹真理子『きことわ』)

“永遠子は、麻婆豆腐を炒めながらウイスキーをひと匙ふりかける。それは春子に教わった調理法だった。”(朝吹真理子『きことわ』より)

麻婆豆腐(朝吹真理子『きとこわ』)

ウイスキーをひと匙ふりかけた味は、劇的な変化はありませんが中華からほんの少し洋風になった味わい。

 

朝吹真理子(1984-)の第144回芥川龍之介賞受賞作から。朝吹さんの家系は、実業家、政治家、文学者、詩人を数多く生んでいる華麗なる一族。本作は葉山の“別荘”を舞台にした小説です。

奇しくも、大叔母でフランソワーズ・サガンの翻訳で有名な朝吹登水子のエッセイ『豊かに生きる』では、登水子さんが軽井沢の“別荘”で、名家の人々や外国人家庭教師と過ごした幼少期の思い出が記されています。私こそ知的であり厚遇されているというエピソードを中宮定子を通じて描いた清少納言の『枕草子』を彷彿とさせます。私の洗練されたセンスがお分かりになって、という筆致と言いましょうか。

お金持ちの習慣や思考を解説・分析したビジネス書がベストセラーランキングに連なったりしますが、『豊かに生きる』も『枕草子』も、華麗な貴族、一族の暮らしぶりを知るには、お金を払ってまで読む価値のある自慢話です。庶民には書けません。


ひがみはこのあたりで『きことわ』に話を戻しますが、別荘解体をきっかけに主人公と幼馴染が再会し、二人ならんでキッチンに立ち、料理を作るシーンで、麻婆豆腐にウイスキーをふっていて、いつかやってみたいと思っていました。

麻婆豆腐(朝吹真理子『きとこわ』)

英王室御用達のスーパー「Waitrose」ブランドのブレンデッドウイスキーを使用しました。¥2,030 税込でイオンリカー四谷店で購入。インターナショナルワイン&スピリッツ2014金賞受賞です、と勧められて。

 

RECIPE
麻婆豆腐(2人分)
木綿豆腐 ・・・・・・・・・・ 1丁
豚ひき肉・・・・・・・・・・・70g
長ねぎ・・・・・・・・・・・・1/2本
しょうが・・・・・・・・・・・1かけ
豆板醤・・・・・・・・・・・・小さじ1
ごま油・・・・・・・・・・・・適量
ウイスキー・・・・・・・・・・ひと匙

合わせ調味料(あらかじめ混ぜ合わせておく)
 しょうゆ・・・・・・・・・・大さじ2
 みそ・・・・・・・・・・・・大さじ1
 酒・・・・・・・・・・・・・大さじ1
 鶏ガラスープの素(顆粒)・・小さじ1
 水・・・・・・・・・・・・・1カップ
 片栗粉・・・・・・・・・・・大さじ1


HOW TO COOK
1. 水気を切った豆腐はさいの目切りに、長ねぎは小口切りに、しょうがは千切りにする(鼎泰豊の小籠包のたれについてくるしょうがくらいのイメージ。スライサーだとやりやすい)。
2. 豆板醤を香りが立つまで炒める。ごま油を引いて豚ひき肉を炒め、色が変わったら、長ねぎとしょうがを入れる。
3. 全体的に油が回ったら、合わせ調味料を加えてひと混ぜし、豆腐を静かに入れて2-3分中火で煮る。
4. ウイスキーをひと匙ふりかけ、火を止める。

 

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